半導体チップそのものの設計と製品。GPU、CPU、SoC、HBM、DRAM、NAND、そして自社チップを持とうとする企業の動き。
26 件
スマホのカメラの「眼」、イメージセンサーで世界の約5割を握るソニーが、TSMCと熊本県合志市に次世代センサーの製造合弁を設ける。5月に基本合意、8月に確定契約を結び、両社の出資は約7,470億円。政府支援を前提とした増強を含む事業規模は約1兆円と報じられた。TSMC主導のJASMとは主客が逆の構図で、ソニーは「ファブライト」への第一歩と位置づける。
ソフトバンク子会社のSAIMEMORY(サイメモリ)は9月28日、半導体パッケージ大手の新光電気工業と、次世代メモリー「ZAM」の研究開発から商用化までを見据えた基本合意書を結んだ。ZAMはDRAMを立てて並べ、磁界で無線接続する構造で、HBMがぶつかる熱と積層の壁を越える狙いだ。2027年度に試作、2029年度の実用化を目指す。技術、競合、資本の顔ぶれから読み解く。
人工ダイヤモンドの板に髪の毛ほどの逆ピラミッド形の穴を掘り、その斜面を電気の通り道にした。金沢大学と産総研は、電圧をかけない限り電流が流れない縦型のダイヤモンドトランジスタを世界で初めて動かし、300℃でも動作を確かめた。安全性の原理では先頭に立ったが、電流はまだ細い。先行する水素終端方式との差、国と自動車大手とVCの資金の流れ、年末にかけての節目を追う。
シリコンウェハーを裏返して1マイクロメートルまで削り、トランジスタの裏側から電源を配る「裏面電源供給(BSPDN)」が、2026年に量産ラインへ入った。インテルは18Aの PowerVia で世界初の量産化に成功し、ノートPC向けとサーバー向けの製品を出荷している。TSMC は A16 の Super Power Rail で追い、より難しい「直接接続」方式を第一世代から採る。技術の先行と事業の勝敗は別物で、インテルの外部ファウンドリ売上は四半期2億9,300万ドル(約470億円)にとどまる。
ルネサス エレクトロニクスが2026年7月1日、営業利益率52%を稼いでいたタイミングデバイス事業を米サイタイムへ約30億ドル(約4,680億円)で譲渡した。対価の半分は現金、残りはサイタイム株で、ルネサスは買い手の11.9%株主になった。手元に残したのはマイコンとSoC、そしてAIサーバー向けのメモリインターフェースとデジタル電源で、AIインフラ関連を3〜4年で全社売上高の4割へ引き上げる計画を掲げる。為替を固定して測るとルネサスの売上高は3年連続で縮んでおり、この売却は「稼げる事業を捨てた」のではなく、自社より高い値段を付ける買い手へ渡した資本操作である。
米ウェイモが2026年8月、ロボタクシー用の自社設計チップの協力企業として日本のソシオネクストを挙げた。富士通とパナソニックのシステムLSI部門を統合して2015年に生まれた、自社ブランド品を売らないカスタムSoC専業メーカーである。商談獲得残高は1兆5100億円に積み上がる一方、製品粗利率は42.3%から31.4%へ落ち、直近四半期は営業赤字に転落した。売上規模がほぼ同じ台湾勢と比べ、市場が付ける値段は10分の1である。
サムスン電子のスマートフォン部門が2026年4〜6月期に7,000億ウォン(約810億円)の営業赤字を計上した。Galaxy S26 は好調で売上高は前年同期比14%増えたのに、AI 需要で高騰したメモリの調達コストが利益を食い尽くした。同じ四半期、同じ会社の半導体部門は89兆2,000億ウォン(約10兆3,600億円)の営業利益で過去最高を更新している。赤字が2028年まで続くと見る証券会社の予想もある。
2026年8月、AIの「推論」だけを速く安く処理する専用チップをめぐる動きが3週間に集中した。OpenAIは自社設計チップ「ハラペーニョ」がNVIDIAの最上位機を電力効率で最大1.9倍上回ったとする測定結果を公開し、AMDは学習済みモデルを配線として焼き込むカナダのTaalasを買収、Anthropicも自社シリコン設計チームの立ち上げを認めた。GoogleはTPUを学習用と推論用の二つに分割し、Metaは半年ごとに新型チップを出す体制に切り替えている。シリコンバレーの投資家はこの分野へ資金を集中させ、Etchedは1か月で評価額を倍にし、Cerebrasは上場初日に時価総額約15兆円をつけ
The Informationは2026年8月26日夜、NVIDIAがオープンソースAIモデルの集積地Hugging Faceを129億ドル(約2兆500億円)で買収することに合意したと報じた。Business Insiderは契約はまだ結ばれておらず破談の可能性も残ると伝えており、両社とも公式には沈黙している。Hugging Faceは2025年末にNVIDIAからの5億ドル出資を「単一の支配的な株主を持ちたくない」として断った経緯があり、その中立性こそが企業価値の源泉だった。GPU最大手による買収は、モデル配布とハードウェアの独立性が崩れることを意味し、開発者コミュニティからは「取り込み、
住友電設(証券コード1949)と名古屋工業大学・安井晋示教授の研究チームが、電力設備の絶縁ガスとして使われる六フッ化硫黄(SF6)から純度99%以上の高純度蛍石(フッ化カルシウム/CaF₂)を生み出す固定化処理技術を確立し、富山県高岡市で年間3.2トンの生産能力を持つ大型プラントの立ち上げに入った。SF6はCO₂の約2万3,500倍という「最悪の温室効果ガス」であり、これを半導体やフッ素樹脂の原料へ再資源化する試みは、温暖化対策と、原料を中国に大きく依存するフッ素資源の経済安全保障を同時に満たす点で注目される。本記事では技術の中身、蛍石と半導体サプライチェーンの全体像、SF6規制の潮流、そして
三井不動産と熊本県は2026年7月27日、一般社団法人KSCMを共同設立し、傘下に「フィジカルAI・半導体基盤センター(PASTEC)」を置くと発表した。ロボットや自動運転車向け半導体の実装・パッケージ技術を共同利用型クリーンルームで支援する。同日、台湾のITRIと新竹サイエンスパーク管理局を含む日台7機関と連携協定を締結し、会員募集は2026年秋に始まる。工場誘致から後工程の研究開発へ、熊本の集積は次の段階に入る。
富士通は2026年6月24日、大規模言語モデル(LLM)を少ないGPUで動かす新アーキテクチャ「PHOTON」を発表した。現在主流のTransformerが苦手とする「長い文章」と「多数の同時クエリ」の場面で、GPU1基あたりの出力トークン数(スループット)を最大475倍に高めるという。基となる論文はarXivに公開済みで、7月2日から米サンディエゴで開かれる自然言語処理のトップ会議ACL 2026の口頭発表に採択されている。本稿は、推論コストの経済性を投資判断の中心に据えるシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)のレンズからこの成果を読み解き、「475倍」という数字の正確な中身、test
生成AIの計算需要を燃料に、半導体市場は2026年に史上初めて年間1兆ドル(約160兆円)を超える「スーパーサイクル」に入った。IDCは2026年の半導体売上を1兆2,900億ドル(約206兆円)、うちAI向けチップだけで約5,000億ドル(約80兆円)と、業界史上初めてAIが売上の過半を占めると予測する。本稿ではまず、このスーパーサイクルが何を指し、誰が何を作り誰が資金を出しているのかを具体例で概観したうえで、従来の「シリコンサイクル」との決定的な違い、バブル論争、地政学リスク、AIのコモディティー化、そして世界的な経済格差の拡大という五つの論点を、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC
一枚に数百億個ものトランジスタを載せる現代の半導体は、EDA(電子設計自動化)と呼ばれるソフト群なしには一片も設計できない。この「見えない土台」を米Synopsys・米Cadence・独Siemens EDAの3社が寡占し、狭義のEDA市場(2025年で約110億ドル=約1.8兆円)だけで7割強、先端チップの必須工程では実質ほぼ100%を握る。2025年5〜7月、米国が対中EDA販売を一時停止させ約6週間で撤回した「キルスイッチの実演」は、この産業が半導体供給網の最上流の栓であることを世界に示した。本稿は、EDAとは何かをかみ砕いたうえで、日本の構造的弱点、Big3各社の最新戦略、対中規制と中