
AIの頭脳を支える原子力スタートアップ――「小型モジュール炉 (SMR)」が注目
AIデータセンターの爆発的な電力需要を背景に、小型モジュール炉(SMR: Small Modular Reactor)を開発する原子力スタートアップへの投資が過去最高を記録している。2025年の原子力スタートアップへのVC投資額は20億ドル(約3,000億円)を突破し、Microsoft、Google、Amazon、Metaの4社だけで100億ドル(約1.5兆円)超の原子力調達契約を締結した。IEA(国際エネルギー機関)の予測では、AIデータセンターの消費電力は2035年までに176GWに達する見込みであり、再生可能エネルギーだけでは到底賄えない。この「AIの電力危機」を解決する切り札として、NuScale、Oklo、Kairos Power、TerraPower、X-energyなどのSMRスタートアップが急速に台頭し、ビル・ゲイツ氏、サム・アルトマン氏、そしてNvidiaまでもが原子力に資本を投じている。2026年3月にはTerraPowerがNRC(米国原子力規制委員会)から史上初のSMR建設許可を取得し、商用運転への道筋が現実味を帯びてきた。一方で、NuScaleのコスト超過問題やペンシルバニア大学による「高コストの袋小路」批判など、SMRの経済性への懸念も根強い。本稿では、投資家の視点からSMR業界の全貌――スタートアップの資金調達、Big Techの巨額契約、規制動向、国際競争、そして技術的・経済的リスクを包括的に分析する。