OpenAI・Anthropic・Google などの基盤モデルと大規模言語モデルの最新動向。新モデルの発表、性能、仕組み、各社の開発競争を追います。
67 件
AI研究者として頭角を現したバレット・ゾフ(Barret Zoph)は、2026年1月にOpenAIへ復帰し、研究者でありながら「法人営業のトップ」という異例の重責を担った。しかしわずか約5か月後の2026年6月、彼は再び同社を去った。ニューラル・アーキテクチャ探索の先駆者であり、ChatGPTを「製品」へと磨き上げたポストトレーニングの司令塔でもあった人物が、なぜ営業職に就き、なぜ短期間で去ったのか。本稿は、博士号を持たない天才の生い立ちと学歴、グーグルとOpenAIでの職歴、そしてシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)がこの「回転ドア」をどう読み解いているかまでを、信頼できる一次情報
タンパク質構造予測AI「AlphaFold(アルファフォールド)」で2024年のノーベル化学賞を受賞したジョン・ジャンパー氏が、約9年在籍したGoogle DeepMindを離れ、Claude(クロード)を開発するAnthropic(アンソロピック)に移籍すると、2026年6月18日(米国時間)にX(旧Twitter)上で表明した。同氏は「しばらく充電期間を取ってから加わる」とし、具体的な役職は両社とも明らかにしていない。ジェミニ共同責任者ノーム・シャジール氏がOpenAIへ移った直後の発表で、AIの主戦場が「会話の流暢さ」から「科学そのもの」へと移りつつあることを象徴する人事として、シリコン
Preferred Networks(PFN)の純国産LLM「PLaMo」は、フラッグシップの PLaMo 2.0 Prime を中心に、翻訳特化の PLaMo翻訳、開発者向けの PLaMo API、無料の PLaMo Chat、エッジ動作の PLaMo Lite へと用途別に展開している。本稿は各サービスと競合との立ち位置を具体例で解説し、PFN の歩みと、PLaMo を率いた岡野原大輔・代表取締役社長(前CTO)の生い立ち・学歴・創業物語を深く掘り下げる。さらに VC とメディアの受け止めを整理し、シリコンバレーの投資家の視点から今後の焦点を読み解く。
Googleは2026年6月9日(米国時間)、話し手の声質を保ったまま70以上の言語を「同時通訳」のようにストリーミング翻訳する音声モデル「Gemini 3.5 Live Translate」を発表した。Google翻訳アプリには即日グローバル展開され、Google Meetと開発者向けGemini Live APIにも順次導入される。本稿では製品の仕組みと使い方を具体例で解説した上で、日米欧メディアの論調、OpenAIやDeepLなど競合の最新動向、そしてシリコンバレーのVC視点から見た業界構造の変化と今後のマイルストーンを整理する。
デジタル庁は2026年6月12日、政府の標準ガイドライン「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」を第2.0版へと改定した。初版(2025年5月27日策定、2026年4月1日全面適用)からわずか約1年での大型改定で、最大の変化は「一律禁止」から「動的な統制」への思想転換にある。背景には、自律的にタスクを遂行するAIエージェントの台頭、2025年9月に全面施行されたAI推進法、そして2026年8月から本格適用が始まるEU AI Actなど内外の制度変化がある。本稿では、ガイドラインの基礎から、約18万人規模で動き出した政府AI基盤「源内(げんない)」と国産LLM7モデル
ChatGPT と AI コーディング基盤 Codex を擁する OpenAI が、2025 年通期に約 385 億ドル(約 6.2 兆円)の最終赤字を計上したことが、リークされた監査済み財務書類をフィナンシャル・タイムズが確認する形で報じられた。ただしこの「6.2 兆円」の大半は、2025 年 10 月の営利企業化に伴う一過性の非現金会計費用であり、本業の営業赤字は約 209 億ドル(約 3.3 兆円)、FT が「実態」と位置づける数字は約 80 億ドル(約 1.3 兆円)にとどまる。本稿は、この赤字の「打ち分け」を一次情報から再構成したうえで、アンソロピックの逆転や循環取引、ガバナンスとい
フランス発のAI企業Mistral AIは、創業からわずか2年余りで評価額117億ユーロ(約2兆円)に達し、欧州最大のAIスタートアップへと駆け上がった。その中心にいるのが、Google DeepMindでChinchillaやRETROを手がけた研究者から起業家へ転じたCEOのArthur Mensch(アルチュール・メンシュ)である。本稿では、Mixture of Expertsとオープン・ウェイトという二つの設計思想を軸に、彼の生い立ち・学歴・職歴・創業物語を一次情報から丹念に追い、シリコンバレーのVCがこの「欧州の挑戦者」をどう値踏みしているか、そして今後いつ何が動くのかを統合的に読み
ソフトバンクグループ(SBG)が保有するOpenAI株式を担保に最低60億ドル(約9,600億円)を調達しようとしていたマージンローン(証券担保ローン)の協議が停滞したと、2026年6月10日にBloombergが報じ、SBG株は東京市場で一時10%近く下落した。当初100億ドル(約1兆6,000億円)を目指した計画は5月に40%減額され、それでも貸し手の同意を得られなかった。本稿は「OpenAI株担保の借り入れ」とは何かを具体例から解き明かし、なぜ銀行が二の足を踏んだのか、そしてシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)がこの一件をどう読み解いているのかを、循環金融・二次流通市場・IPOと
ChatGPTを開発する米OpenAIが、2026年6月8日(米国時間月曜)、米証券取引委員会(SEC)へ新規株式公開(IPO)に向けた登録届出書(S-1)を「非公開(コンフィデンシャル)」で既に提出したと自ら公表した。直近の未公開市場での企業価値は8,520億ドル(約136兆円)にのぼり、実現すれば史上最大級のIPOになる。ただし同社は「上場時期は未定で、当面は非上場のままかもしれない」と明言している。本稿では、この申請の事実関係を複数の一次情報で検証したうえで、「非公開申請」という制度の意味、非営利が営利を支配する特異な企業統治、$3,000億から$8,520億へと一年で膨らんだ資金調達の
Google が 2026年5月19日の I/O 2026 で発表した「Gemini Omni」は、画像・音声・動画・テキストのどんな入力からでも一つの動画を生み出す、ネイティブ・マルチモーダルの新世代モデルである。Veo・Imagen・音声生成を一つのスタックに統合し、重力や流体といった物理法則を内蔵した「世界モデル」として、会話で映像を彫っていく編集体験を実現した。本稿はシリコンバレーのクリエイター視点から、双方向・同時マルチモーダル推論、物理インテリジェンス、Google Flow 統合、Project Astra、ライブ編集という五つの軸で Omni を徹底的に読み解き、実践 TIPS
OpenAI共同創業者にしてAI教育の第一人者アンドレイ・カーパシーが、2026年5月19日にAnthropicへ電撃移籍し、「Claudeを使ってClaude自身の事前学習を加速させる」チームを率いることになった。これはAIがAIを作る「RSI=再帰的自己改善(Recursive Self-Improvement)」の中核に座る人事である。ところが同社は6月初旬、まさにそのRSIを最大のリスクと位置づけ、フロンティアAI開発の「協調的な一時停止」を世界に呼びかける論考を発表した。アクセルを誰よりも強く踏みながら、自らブレーキの設計図を配る――だがこれは矛盾ではない。誰よりも強くアクセルを踏ん
NTTが純国産で開発する大規模言語モデル「tsuzumi(つづみ)」は、2025年10月にパラメータを約300億(30B)へ拡張した「tsuzumi 2」へ世代交代し、2026年5月19日には図表入りの日本語ビジネス文書を画像として読み解く「tsuzumi 2 Visionモデル」を追加した。わずか1基のGPUで動き、金融・医療・公共の知識をあらかじめ作り込み、機密データを社外に出さずにオンプレミスで使える点が最大の特徴である。本稿ではtsuzumiの歩みと技術、開発を統括する西田京介(にしだ きょうすけ)上席特別研究員の思想、東京通信大学や政府AI基盤「源内」への採用までを整理し、シリコンバ
2017年のTransformerから2024年のClaude内部解析まで、現代AIの骨格を作った10本の論文を、シリコンバレーのAI研究者の視点で一気通貫に読み解く。Google/DeepMindの「アーキテクチャと強化学習」、OpenAIの「スケールと創発」、Anthropicの「安全性と解釈可能性」という三幕構成で、各論文の中身を具体例とともにできるだけ平易に解説し、最後に全体の流れと今後を展望する。2026年6月時点で、これらの論文を書いた研究者たちが率いる企業群は、Anthropic(評価額約9,650億ドル=約154兆円)とOpenAI(約8,520億ドル=約136兆円)を筆頭に、
AI開発企業アンソロピックが2026年6月1日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)のための登録書類(Form S-1)を非公開で提出したと発表した。直前のシリーズHで時価総額9,650億ドル(約150兆円)に達しライバルOpenAIを抜き、年換算売上高は470億ドル(約7.3兆円)まで急伸、第2四半期には初の営業黒字化が視野に入る。本稿はSpaceX・OpenAIと同時期に重なる「3兆ドルIPOレース」を、各紙の報道、黒字化の実態、競争優位、そして市場の資金吸収力という4つの論点から検証し、最後にシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)の視点で全体像を統合する。