1か月で2万8,800回、光の差し込み口を抜き差しする

アドバンテスト(6857)、CPO 量産の最後の壁、検査に参入。SENKO、VIAVIと組む自動検査と、光コネクタの標準化争い - 1か月で2万8,800回、光の差し込み口を抜き差しする - 章扉

髪の毛の10分の1ほどの細さしかない光ファイバーの芯を、指先に乗るほどの光チップの受け口に差し込み、光を通して測り、抜いて、次のチップへ移る。

この作業を1時間に40回、昼も夜も止めずに続けると、1か月で2万8,800回になる。AIデータセンターの次の主役とされる「CPO」を本気で量産しようとすれば、工場ではこの単調で過酷な抜き差しが、毎日、延々と続く。

その差し込み口のために、ドリルの刃と同じ超硬合金で検査専用のコネクタを作ったのが、光コネクタメーカーのSENKOだ。三重県のセンコーアドバンスの米国子会社で、物流大手のセンコーとは別の会社である。そこに、半導体検査装置で世界最大手のアドバンテストが、量産ラインを模した自動検査の環境を用意し、米国の通信計測大手VIAVIソリューションズが、光の信号にどれだけ誤りが混じるかを数える測定器を持ち込んだ。

3社は9月14日に協業を発表し、9月下旬にスペイン南部のマラガで開かれた欧州最大の光通信の国際会議「ECOC」で、その仕組みを実演した。取り外しできるコネクタ越しに、光の通り道1本あたり毎秒200ギガビットの信号を流し、誤り率を自動で測ってみせたのだ。毎秒200ギガビットは、これから主流になる毎秒1.6テラビットの通信を8本の通り道で分担するときの、1本分の速さにあたる。

SENKOは発表文の題名に「隠れたボトルネック」という言葉を選んだ。光と電気を一つのパッケージにまとめる技術そのものは、すでにNVIDIAやブロードコムが製品として出荷する段階に来ている。残っているのは、それを毎月何万個という単位で、安く、確実に作り、確かめる仕組みだ。量産の最後に立ちはだかる壁が、検査なのである。

CPOとは何か、なぜ検査が「最後の壁」なのか

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いまのAIデータセンターでは、スイッチと呼ばれる通信機器の前面に、手のひらに収まる細長い部品がずらりと差し込まれている。「光トランシーバー」と呼ばれる部品で、機器の中を流れてきた電気の信号を光に変え、光ファイバーへ送り出す。

問題は、そこまでの道のりだ。頭脳にあたるチップから前面の差し込み口までは、基板の上を電気の信号が何十センチも走る。通信が速くなるほど、銅の配線の中で信号は弱り、途中で信号を整え直す部品が必要になり、そのたびに電力を食う。何万個ものGPUをつなぐAIの計算機では、この最後の数十センチが、電気代と発熱の大きな塊になってきた。

CPO、日本語で「共封止光学」は、電気を光に変える部分を、チップのすぐ隣、同じパッケージの中へ引っ越させる技術だ。駅まで歩いてから電車に乗る代わりに、玄関の前に駅を作ってしまうようなものだと考えるとわかりやすい。電気が銅の上を走る距離が一気に縮むので、電力が大きく減る。米ブロードコムは、出荷を始めた第3世代のCPOスイッチについて、光の接続にかかる電力を従来の差し込み式に比べて約7割減らせると説明している。

ただし、この引っ越しには代償がある。電気を光に変える部品、「光エンジン」は、高価なスイッチチップと一体になり、後から1個だけ抜いて差し替えることが難しくなる。

掛け算で考えると、その怖さがわかる。ブロードコムのそのCPOスイッチは、1つのパッケージに光エンジンを16個並べている。1個あたりの良品率が95%なら、ずいぶん高い数字に聞こえる。しかし16個すべてが良品である確率は、0.95を16回掛けた値、およそ44%まで落ちる。半分以上のパッケージが、どこかに不良を抱える計算だ。不良が見つかれば、高価なチップごと捨てることになりかねない。

だからCPOでは、組み立ての段階ごとに細かく確かめる。台湾の調査会社トレンドフォースは、CPOの検査を4つの段階に分けて整理している。光の回路を作り込んだウエハーの段階、そこに電気の回路を重ねた段階、光エンジンとして完成した段階、そしてスイッチのチップと一つのパッケージにまとめた最終段階だ。料理にたとえれば、食材、下ごしらえ、盛り付けの前、そして完成した一皿と、4回味見をするようなものである。組み立て前に「良品と確かめた光エンジン」だけをそろえれば、さきほどの掛け算の罠から逃れられる。

厄介なのは、光は電気のように針を当てれば測れる、というわけにはいかないことだ。トレンドフォースによれば、一般的な光ファイバーの芯と、チップの中の光の通り道とでは、断面積に800倍近い差がある。太い水道管から、針の穴ほどの細い管へ水を流し込むようなもので、ナノメートル単位の位置合わせが要る。チップ1個の光の検査をすべてやると、平均で100秒以上かかるという。

そして最終段階には、もう一つの難題がある。差し込み口だ。光エンジンには従来、光ファイバーを接着剤で直接固定する「ピッグテール」という方式が使われてきた。昔のイヤホンのように、コードが本体から直接生えている形である。これでは検査のたびに精密な位置合わせが要り、壊れれば丸ごと交換するしかない。そこで、コネクタで抜き差しできる「着脱式」が求められるようになった。

ところが、その着脱式のコネクタが、量産の検査に耐えられない。アドバンテストは自社サイトで、CPOの最終検査では自動で光をつなぐ必要があるのに「業界では標準化されたコネクタが存在していません」と書いている。さらに、CPOに使われるコネクタは消耗品であることが多く、製造に必要な耐久性や保守性をほとんど備えていない、とも指摘する。

業界の声も同じ方向を向いている。米半導体専門メディアのセミコンダクター・エンジニアリングが6月に掲載した記事で、アドバンテスト米国法人のアイラ・レベンサル副社長は「コネクタの分野はばらつきが大きすぎて、どれが勝ち残るのか、まだ絞り込まれていない」と語った。競合の米テラダインの担当者は、最終製品を1個検査するだけで、光を送り込むためのレーザーが最大で128個も必要になると説明した。歩留まり分析ソフトを手がけるイールドワークスの最高経営責任者は「この部分が解決しなければ、CPOは年1,000万個から1億個へは伸びない」と言い切っている。

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3社が見せた自動検査の中身

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ECOCの実演では、3社がそれぞれ別の役を受け持った。

土台になったのは、アドバンテストが組んだ「量産を模した検査環境」だ。工場のラインと同じ条件で、光の検査の流れを自動で回し続けられるかを確かめるための仕組みである。そこにVIAVIの毎秒1.6テラビット級の通信試験器を、光エンジンの代役として組み込み、SENKOの着脱式の受け口とコネクタを通して信号を出し入れし、誤り率を測った。これまでファイバーを固定したピッグテールでなければ難しかった毎秒200ギガビットの信号を、抜き差しできる接点越しに通したことが、技術的な見せ場だ。

主役の部品は、SENKOが「SAM-T」と名付けた検査専用のコネクタである。SENKOの方式では、光エンジンのチップの上に「SEAT」という受け口を取り付ける。SAM-Tは、その受け口に何千回も差し込まれる側の、いわば基準のものさしだ。

SAM-Tの工夫は3つある。1つ目は素材で、ドリルの刃や切削工具に使われる超硬合金、タングステンカーバイドで作った。何千回抜き差ししても、すり減って位置がずれたり、光の通りが悪くなったりしないという。

2つ目は「弾性平均化」と呼ばれる位置合わせの仕組みだ。たくさんの小さな接点が少しずつたわみながら、全体で誤差をならし、毎回同じ位置にぴたりと収まる。レゴブロックが、ポッチの数が多いほど、しっかり同じ位置にはまるのに似ている。しかもこの仕組みは、将来のCPOスイッチで光ファイバーを束ねてつなぐ部品にも使われる予定で、検査と本番とで同じ「はまり方」になる。

3つ目は、何本も束ねて同時に差し込めることだ。複数の光エンジンをまとめて検査できるので、1本ずつ抜き差しする方式より速く処理できる。丈夫なので、装置を止めて部品を交換する回数も減る。

冒頭の2万8,800回という数字は、SENKOが発表文で示した試算だ。1時間に40個のペースで24時間、30日動かせば、月に2万8,000個を超える。研究室で性能を確かめる段階とは、求められる丈夫さの桁が違う。

VIAVIで研究所と生産現場向けの製品を担当するマット・アダムス氏は「課題はもはや、研究室で光の性能を証明することではない。AI向けの光部品の規模で、生産の中で繰り返し確かめることだ」と語る。アドバンテストのレベンサル氏も、光と半導体の一体化がAIのインフラで重要になるほど、自動化され、規模を広げられる検査が商業的な成功に欠かせないとコメントした。

もっとも、今回はあくまで量産を模した環境での検証だ。光エンジンの代役はVIAVIの試験器が務めており、顧客の生産ラインに入ったという話ではない。アドバンテスト自身は今回、自社のプレスリリースを出しておらず、発表はSENKOの名前で行われた。3社の取り組みは、量産検査の「型」を業界に示す第一歩という位置づけである。

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アドバンテスト、強みと課題

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アドバンテストの最大の強みは、半導体テスタという土俵での圧倒的な地位だ。同社は、演算用チップ向けのSoCテスタで2025年の世界シェアを66%と推計し、将来は70%超を狙えるとしている。主力機「V93000」は、半導体の受託製造や後工程の受託会社で事実上の標準機になっている。業績も絶好調で、2026年4〜6月期は売上高、営業利益とも四半期として過去最高を更新した。今期の予想は、売上高1兆7,140億円、営業利益8,460億円に引き上げている。

この地位を、そのまま光の世界へ持ち込もうというのが、レベンサル氏の言う「光のロードボード」という発想だ。テスタと検査対象をつなぐ電気の基板に、光をやり取りする層を一枚足す。そうすれば顧客は、世界中に置いた何百台、何千台というテスタを買い替えずに、CPOの検査に使い回せる。電気の検査で積み上げた設置台数そのものを、光の時代の参入障壁に変える戦略である。

工程ごとに組む相手を変えてきたのも特徴だ。ウエハーの段階では、プローブカード大手の米フォームファクター、東京エレクトロンと組み、テスタ、ウエハーを運ぶ装置、光を当てる探針を一体にした検査セル「TRITON」を作った。日刊工業新聞によれば、2026年度中に量産工程向けの出荷を始める。6月には光回路の設計を手がける米オープンライトと提携して光エンジンの検査に踏み込み、今回はSENKO、VIAVIと組んで最終のモジュール検査に手を伸ばした。ウエハーから完成品までの4つの段階を、パートナーと一緒に埋めていく形だ。

受注の手応えもある。4月の決算説明会の質疑では、シリコンフォトニクスの量産向けに大口のテスタ受注を得たことが話題になり、同社は「追い上げの局面とは見ていない。この領域ではすでにリードしていると考えている」と答えた。ダグラス・ラフィーバ グループCEOは、この分野の需要について「来年は2倍超、その翌年は少なくとも再び2倍程度」になると見ている。

課題は3つある。

1つ目は、光の技術の要を自社で持っていないことだ。光を当てる探針はフォームファクター、光の測定器は外部のメーカー、差し込み口はSENKOと、肝心な部分をパートナーに頼っている。競合のテラダインは2025年、光チップの検査を手がけるクオンティファイ・フォトニクスを約1億2,700万ドル(約200億円)で買収して光の測定器を社内に取り込み、2026年3月には光と電気をまとめて測る新しい検査プラットフォーム「Photon 100」を発表した。テラダインのグレッグ・スミスCEOは日刊工業新聞の取材に「競合とのシェアは拮抗しており、違いは単一の大口注文か複数の小口注文かだけだ」と話している。

2つ目は、市場の小ささと時期の読みにくさだ。業界の見積もりでは、CPO向け検査装置の市場は2028年でも最大7億ドル(約1,100億円)程度にとどまる。売上高1兆7,000億円規模のアドバンテストにとって、すべてを取っても数パーセントにすぎない。同社自身も、検査の回数や時間、歩留まりに不確実な要素が多く、市場規模を見極めるのは時期尚早だと認めている。CPOの検査は、目先の利益というより、光の時代にもV93000を工場の標準機であり続けさせるための布石の意味合いが大きい。

3つ目は、コネクタ問題そのものである。どの方式が勝つか決まらない限り、検査装置の側は、複数のコネクタに合わせた治具を用意し続けなければならない。SENKOとの協業は、有力な方式の一つについて量産検査の型を先に作る試みだが、別の方式が主流になれば同じ作業をやり直すことになる。アドバンテストが「様々なコネクタサプライヤ」との協力を掲げるのは、この賭けを分散するためでもある。

株価は、こうした期待をすでに大きく織り込んでいる。10月2日の終値は3万8,630円で、3月末に付けた年初来安値から、ほぼ2倍になった。時価総額は約28兆円、今期予想ベースの株価収益率は42倍に達する。

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SENKO、強みと課題

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SENKOは、光ファイバー同士をつなぐコネクタの専業メーカーだ。親会社は三重県のセンコーアドバンスで、今回の発表は米国子会社のSENKO Advanced Componentsが行った。これまでに出荷したコネクタは10億個を超え、特許は500件以上を持つ。CPOのような新しい領域のために、新技術を専門に扱う部隊を社内に置いている。

強みの1つ目は、小型のコネクタで世界の規格を取ったことだ。同社の「SN」コネクタは、国際電気標準会議、IECの規格に採用された。従来広く使われてきたLCコネクタに比べ、同じ面積に最大3倍の差し込み口を並べられる。データセンターの機器の前面は、差し込み口の密度がそのまま性能になる世界であり、ここで国際規格を握った意味は大きい。

強みの2つ目は、CPOの最前線の顧客に早くから食い込んでいることだ。2025年3月には、NVIDIAのCPOスイッチ向けに、光チップにつなぐ着脱式のコネクタを供給する会社として、NVIDIAの光技術の協業企業群に加わった。4月には、米マーベルが演算チップと光エンジンを一つのパッケージに収めた設計に、36本の光をまとめて抜き差しできるコネクタを組み込んだ。9月には米グローバルファウンドリーズと、ウエハーの段階で抜き差しできる光の接点を実証し、2026年3月には光接続の新興企業、米ライトマターと組んで、差し直しても光の損失を小さく抑えられる接続を示した。1月には米エアロテック、日本のサンテックと、多数の光ファイバーを高速で位置合わせする装置の開発でも手を組んでいる。

強みの3つ目が、今回の検査用コネクタである。SAM-Tは、量産品に付く受け口と同じ仕組みで作った「検査版」だ。もしSENKOの受け口がCPOの標準的な接点として広がれば、世界中の検査ラインで、それに合う丈夫な検査用コネクタが必要になる。どれほど丈夫でも、検査用コネクタは最後には交換が必要な部品で、量産が続く限り需要が続く。差し込み口の陣取りと、検査の消耗品の両方を同時に押さえにいく一手と言える。

課題は、相手の大きさだ。多心のコネクタでは、米コーニング、フジクラ、NTTアドバンステクノロジが出資する米USコネックの「MMC」陣営が、日本企業も巻き込んで供給網を急速に広げている。チップ側の着脱式コネクタでも、コネクタ大手の米モレックスが、イスラエルの新興企業テラマウントを買収して乗り込んできた。コーニングもCPO向けの着脱式の接続部品を発表している。いずれも、事業規模でSENKOを大きく上回る企業だ。

もう一つの課題は、買い手の事情である。巨大IT企業は、部品を1社に頼ることを嫌い、複数の会社から同じ規格の部品を買えることを求める。SENKOはSNコネクタを国際規格にし、他社に製造のライセンスも出してきたが、CPOのチップ側の受け口であるSEATは、まだ業界の標準になっていない。独自方式のままでは、採用する側が二の足を踏みかねない。

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VIAVI、強みと課題

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VIAVIソリューションズは、2015年に米JDSユニフェーズが2つに分かれて生まれた会社だ。もう一方の兄弟会社は、いまCPOの光源で注目を集めるルメンタムである。VIAVIは通信網やデータセンター向けの試験・測定器を主力とし、紙幣の偽造防止などに使う光学技術も手がける。

強みは、研究所から工場まで、光の試験をひと通りそろえていることだ。9月のECOCでは、毎秒1.6テラビットの光トランシーバーを1台で試験できる装置や、生産ライン向けの測定プラットフォームにCPOとシリコンフォトニクスを測る機能を加えた製品を並べた。2025年10月には、英スパイレントを買収した米キーサイト・テクノロジーズから、スパイレントの高速イーサネット試験などの事業を4億2,500万ドル(約670億円)で買い取り、AIの通信網に負荷をかけて試す道具も手に入れた。

業績はデータセンター需要で急伸している。6月までの四半期の売上高は前年同期比52.5%増の4億4,310万ドル(約700億円)で、通信計測事業の売上高のおよそ半分をデータセンター向けが占めるまでになった。10月初めまでの四半期は、4億5,000万〜4億6,000万ドル(約710億〜730億円)の売上高を見込む。

CPOについて、オレグ・カイキンCEOは8月、米証券会社ローゼンブラット主催の投資家会議で「CPOは、差し込み式のトランシーバーより、1ポートあたりの検査の機会が多い」と語った。光と電気のチップを組み合わせる前、光エンジンに組み上げた後、接続部分、そして最終製品と、試験が何度も入るからだ。同社はCPOの試験システムに2年近く取り組み、初期の出荷を始めたという。8月の決算説明会では、CPO関連の売上がすでに立ち始めており、12月までの四半期から加速しうるとの見方を示した。四半期の売上高が5億ドル(約790億円)に届く時期についても、その12月までの四半期で「遠くない」と述べている。

課題の1つ目は、競争の激しさだ。光の測定器では米キーサイトが強く、ライトマターが主導するCPOの標準化の取り組みにも創設メンバーとして加わっている。テラダインは光の測定器を自前で持つ。そして量産の検査では、テスタメーカーが外部の光測定器を自社のシステムに取り込む形が広がりつつある。アドバンテストも、V93000に外部の光計測機器を統合し、自社のソフトウェアから一括で操作できるようにした。VIAVIにとっては、アドバンテストの巨大な設置台数への入り口を得る反面、テスタの裏側に組み込まれる部品の一つになる危うさもはらむ。

2つ目は、需要の波の大きさだ。VIAVIの株価は、2025年末から4月末にかけて一時3倍超に駆け上がった後に下げ、10月2日は47.10ドル(約7,400円)で取引を終えた。年初の2.6倍の水準だが、高値からは2割以上下にある。通信会社向けの事業は「低調だが安定」と同社自身が説明しており、伸びの大半をAIデータセンターという一つのエンジンに頼っている。

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光コネクタの標準化争い、日本勢は両陣営に

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CPOの差し込み口をめぐる規格争いは、大きく3つの層で同時に進んでいる。

1つ目の層は、機器の前面や配線盤で使う、超小型の多心コネクタだ。何本もの光ファイバーを一つにまとめて抜き差しする部品で、ここではSENKOの「SN-MT」と、米USコネックの「MMC」がぶつかっている。USコネックは、米コーニング、フジクラ、NTTアドバンステクノロジの3社が出資する会社だ。MMC陣営は2026年2月、光コネクタの三和テクノロジーズと、古河電工グループの白山を加え、複数の会社から同じ部品を買える体制を固めた。白山は6月、光ファイバーを髪の毛より細かい精度で並べて固定する「フェルール」という部品の新工場を石川県に建てると発表した。投資額は約50億円で、2028年4月の稼働を目指す。コーニングも3月の米国の光通信展示会OFCで、32本のファイバーをまとめるMMCを投入した。

興味深いのは、この陣取りが、実は日本企業どうしの争いでもあることだ。MMCの側にはフジクラ、NTTグループ、古河電工グループ、三和テクノロジーズが並び、対するSN-MTの旗を振るのは三重県のSENKOである。白山は、このフェルールを世界で最も早く手がけた会社の一つを自任する。光ファイバーをミクロン単位でそろえる精密部品は、もともと日本企業が得意としてきた分野で、そのお家芸どうしが、AIデータセンターの規格の座を争う構図になっている。

2つ目の層は、チップの側、光エンジンとファイバーの接点だ。ここではSENKOの受け口「SEAT」と、それに合うコネクタが、NVIDIA、マーベル、ライトマターの設計に入り込んでいる。対抗するのが、コネクタ大手の米モレックスである。モレックスは2026年5月、着脱式の光接続技術を持つイスラエルのテラマウントの買収を完了した。買収額は公表されていない。テラマウントは2025年に5,000万ドル(約79億円)を調達しており、その資金調達を主導したのは、モレックスの親会社である米コーク・インダストリーズの投資部門、コーク・ディスラプティブ・テクノロジーズだった。AMD、サムスン電子、日立製作所の投資部門も出資していた。投資部門が先に種をまき、本体が刈り取る。出資から買収へのこの流れは、CPOの周辺でお金がどう動くかをよく表している。コーニングも、着脱式のファイバー束でチップにつなぐ部品をOFCで発表した。

3つ目の層は、光エンジンそのものを差し替え式にするかどうかだ。はんだで固定する方式に対して、ソケットに差し込んで交換できるようにする規格づくりが進む。3月には、米シエナ、コヒレント、マーベル、モレックス、サムテックなどが「Open CPX」という業界団体を立ち上げた。モレックスは、ここでも中心にいる。

さらに上の層では、AMD、ブロードコム、メタ、マイクロソフト、NVIDIA、OpenAIの6社が3月、AI向けの光接続の仕様を決める業界団体「OCI」を作った。8月には、ライトマターが主導し、デル・テクノロジーズやクアルコムなど19社が加わるCPOの設計図づくりが、データセンター機器の標準化団体OCPの正式な活動になった。最初の仕様は2026年10〜12月期に提出される予定だ。業界団体の相次ぐ発足について、米グローバルファウンドリーズの最高技術責任者は「無法地帯からの大きな前進だ」と評している。

検査にとって、この争いは他人事ではない。テラダインの担当者が指摘するように、コネクタの形が標準化されていないため、検査装置の側は、光をつなぐ相手ごとに、動きと位置合わせの仕組みを作り直さなければならない。勝ち残る規格が決まれば、検査用の治具も、検査用コネクタという消耗品も、一気にその規格へ寄っていく。SENKOが量産検査の型を先に示したのは、規格争いの勝敗が決まる前に、工場の現場で「使える方式」という実績を積み上げる狙いがあると読める。

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投資家と各紙の見方、検査市場はどこまで大きくなるか

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市場の大きさについて、最も具体的な数字を出しているのはテラダインだ。スミスCEOは6月、米バンク・オブ・アメリカ主催の会議で、CPO向け検査装置の市場を、2026年に約1億ドル(約160億円)、2028年に3億〜7億ドル(約470億〜1,100億円)、いずれは10億ドル(約1,600億円)を超えると見積もった。米モルガン・スタンレーも4月末、テラダインに関するリポートで、シリコンフォトニクスとCPOの検査市場が中期的に3億〜7億ドルへ育つとの見方を示している。アドバンテストは金額こそ示さないが、「来年2倍超、その翌年も少なくとも2倍」と、伸び率で強気の姿勢を見せる。

光部品全体の市場と比べると、その小ささが際立つ。米調査会社ライトカウンティングによれば、AIの計算機向けの光トランシーバーとCPOの売上高は、2025年の165億ドル(約2.6兆円)から、2026年には260億ドル(約4.1兆円)に増える。検査装置の市場は、その1%にも満たない。それでも、この小さな関門を通らなければ、何兆円分もの光部品が工場から出ていけない。投資家がCPOの検査に目を向ける理由はそこにある。

慎重な声も根強い。日刊工業新聞は7月、業界筋の「今のところリーディングカンパニーがまず導入した段階であり、すぐに他社が垂直的にラインを立ち上げることにはならないと思う。まだ市場規模は見えない」という声を伝えた。米調査会社セミアナリシスは6月9日、CPOの本格普及は市場の想定より遅れるとのリポートを出し、光関連株が軒並み売られた。データセンター全体をつなぐ用途での普及は2026〜27年からずれ込み、GPU同士を直結する用途では2029年ごろまでかかる可能性がある、という内容だ。台湾のトレンドフォースは7月下旬、NVIDIAとブロードコムがCPOスイッチの量産を立ち上げ始めたとしつつ、拡大の足かせは光エンジンの歩留まりと先端パッケージの生産能力だと分析し、本格的な量産の拡大を2027〜28年と見込んだ。歩留まりが足かせであるならば、それを見抜く検査の価値は、むしろ高まることになる。

投資家の目で見ると、CPOの検査で稼ぐ道は3つある。テスタ本体を売るアドバンテストやテラダイン。光の測定器を売るVIAVIやキーサイト。そして、検査のたびにすり減る治具や消耗品を売る会社だ。最後の消耗品は、量産が続く限り繰り返し売れる。アドバンテスト自身、4〜6月期はサポートや、テスト用の基板などの消耗品の販売が伸び、サービス他部門の売上高が46%増えた。SENKOの検査用コネクタや、フォームファクターの光の探針は、この3つ目の道にあたる。

資金の流れも、この関門に向かい始めた。NVIDIAが3月、レーザーなど光部品大手のコヒレントとルメンタムに20億ドル(約3,200億円)ずつ出資したように、まず巨額の資金が流れ込んだのは光の部品そのものだった。その次の投資先として、量産を支える検査と接続の会社が浮かび上がっている。テラダインはクオンティファイ・フォトニクスを、VIAVIはスパイレントの試験事業を、モレックスはテラマウントを買った。アドバンテストも2025年1月、フォームファクターと、イタリアのプローブカード大手テクノプローブに少額出資している。アドバンテストと組んだオープンライトは4月、ベンチャーキャピタルのマター・ベンチャー・パートナーズが主導する5,000万ドル(約79億円)の資金調達を行い、累計の調達額は8,400万ドル(約130億円)になった。既存株主には米メイフィールドなどが名を連ねる。

各紙の伝え方には温度差がある。英語圏の業界メディアは、3社の協業を、CPO量産の検査のボトルネックに挑む取り組みとして伝えた。日本では、アドバンテストのシリコンフォトニクス検査は、これまで主にウエハー段階の装置の話として報じられてきた。今回の協業で、焦点はモジュールの最終検査と、その入り口にあるコネクタへと広がった。

株式市場は、いまのところ検査そのものより、AI全体の勢いで両社を評価している。アドバンテストの株価は3月末から約2倍、VIAVIは年初から約2.6倍になった。CPOの検査は、どちらにとってもまだ株価を動かすほどの売上にはなっていない。投資家にとっての論点は、この小さな市場が、光の時代の「次の標準機」を決める場になるかどうかである。

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今後の注目点、いつ何が見えてくるか

アドバンテスト(6857)、CPO 量産の最後の壁、検査に参入。SENKO、VIAVIと組む自動検査と、光コネクタの標準化争い - 今後の注目点、いつ何が見えてくるか - 章扉

最初の山場は10月中旬だ。米サンノゼでデータセンター機器の標準化団体OCPの年次総会が開かれ、ライトマター主導のCPOの設計図づくりが、10〜12月期の最初の仕様提出に向けて動く。コネクタや光エンジンの交換の方法が、どこまで具体的に書き込まれるかが焦点になる。

10月28日には、アドバンテストが4〜9月期の決算を発表する。シリコンフォトニクス向けの大口受注のその後、TRITONの量産向け出荷の進み具合、そしてCPOのモジュール検査への言及があるかが注目点だ。VIAVIも10月初めに締めた四半期の決算を発表する予定で、CPO関連の売上が12月までの四半期に向けて加速するのか、四半期の売上高5億ドルが見えてくるのかが試される。テラダインの決算では、Photon 100の量産向け受注が明らかになるかどうかが、アドバンテストとのシェア争いを測る物差しになる。

12月9日から11日には、東京ビッグサイトでSEMICON Japanが開かれる。アドバンテストは2026年度中、つまり2027年3月までに、量産工程向けのシリコンフォトニクスの検査装置を出荷する計画で、その実績が年度内に問われる。

2027年3月7日から11日には、米ロサンゼルスで光通信の展示会OFCが開かれる。2026年のOFCでは、複数の業界団体が相次いで旗揚げした。2027年は、どの規格が実際の製品に載ったのかが見える場になる。SENKOの検査用コネクタが、実演ではなく、顧客の生産ラインで使われたという発表が出るかどうかも、注目点の一つだ。

その先、2027年から2028年にかけて、トレンドフォースが見込むCPOの本格量産がやってくる。テラダインが3億〜7億ドルと見積もる2028年の検査市場、2028年4月の稼働を予定する白山の新工場、そしてセミアナリシスが指摘するGPU直結での2029年ごろの普及と、時間軸の違う予測がいくつも重なっている。どの予測が当たるのかを最も早く教えてくれるのは、工場の検査ラインで何台の装置が動き、何本の検査用コネクタが使われたかという数字だろう。

1時間に40個、1か月に2万8,800回。光の差し込み口を、すり減らさずに抜き差しし続けられるかどうか。AIの通信を電気から光へ切り替える巨大な投資の成否は、そんな地味な部品と装置の出来にかかっている。


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