ネットワーク機器の「中身」を売る会社 — IP Infusionとは

インターネットの通信は、ルーターやスイッチと呼ばれる箱を何十台も経由して届く。この箱は、外から見ればただの金属筐体にLANポートが並んでいるだけだが、中身は明確に二層に分かれている。ひとつは光信号や電気信号を実際に処理する半導体とハードウェア。もうひとつは「このパケットをどの隣接機器に渡すか」を計算し、経路情報を他のルーターと交換し、障害時に50ミリ秒以内で迂回路へ切り替える、ソフトウェアの層である。パソコンにWindowsやmacOSがあるように、ルーターにもOSがある。シスコシステムズなら「IOS XR」、ジュニパーネットワークスなら「Junos」、ノキアなら「SR OS」がそれにあたる。
米カリフォルニア州サンタクララに本社を置くIP Infusion Inc.は、この「ルーターのOS」だけを専門に開発・販売する会社である。自社では箱を作らない。半導体も作らない。売っているのは、ネットワーク機器を動かすためのソフトウェアそのものだ。
同社の出自は、日本のインターネット黎明期にある。石黒邦宏氏と吉川義成氏が1996年に開発したオープンソースの経路制御ソフトウェア「GNU Zebra」が原型で、これを商用製品として磨き上げるために1999年10月、石黒氏らが米国でIP Infusionを設立した。商用版は「ZebOS」と名付けられ、自社ブランドの機器を持たない通信機器メーカーが自社製ルーターに組み込む、いわゆるOEM向けソフトウェアとして広く採用されていく。同社によれば、この制御プレーン用ソースコード製品(現在は「OcNOS CP」と改称)は、いまも世界300社超のネットワーク機器メーカーに採用されている。2006年3月には日本のACCESSが約5,000万ドル(当時のレートで約58億円)で買収し、以後20年にわたりACCESSの100%子会社として運営されている。
買い手となったACCESSもまた、他社製ハードウェアの上で動くソフトウェアを供給し続けてきた会社である。1990年代後半から2000年代にかけて、NTTドコモのiモード対応端末をはじめとする日本の携帯電話——いわゆるガラケー——に、同社の組み込みブラウザ「Compact NetFront」および「NetFront Browser」が標準搭載された。限られたCPU性能とわずかなメモリ、独自のRTOS、メーカーごとに異なるチップセットという厳しい制約のもとで、HTMLとJavaScriptを解釈しネットワークにつなぐソフトウェアを、端末メーカー各社の仕様に合わせて移植し続ける仕事である。NetFrontはその後、携帯電話にとどまらずゲーム機、テレビ、カーナビ、電子書籍端末、複合機へと広がり、累計出荷は10億台を超えた。他社のハードウェアに深く入り込み、リソース制約の中でプロトコルスタックを動かし、多数のメーカーに対して長期の保守と個別移植を提供する——組み込みソフトウェア事業者としてのこの経験の型は、汎用ハードウェア上でルーターのOSを動かし、300社超の機器メーカーにOEM供給するIP Infusionの事業と、驚くほど正確に重なる。ACCESSがIP Infusionを買収したのは、単なる事業領域の拡大ではなく、同じ商売のやり方を通信インフラの領域へ持ち込む動きだった。
現在のIP Infusionは、サンタクララの本社に加え、インド・ベンガルール、カナダ・ガティノー/カナタに開発拠点を置き、東京、ソウル、フランクフルトに販売拠点を構える。ACCESSの有価証券報告書によれば、ネットワーク事業セグメントの従業員数は2026年1月末時点で402名。グループ全体795名の半数以上をこの事業が占める。2025年12月にはトム・サボイ氏が最高経営責任者に就任した。同氏は営業担当の一般社員としてIP Infusionに入社し、16年をかけて同社の主要な大型商談の多くを手がけた叩き上げで、それ以前はノーテルやウインドリバー/インテルでホワイトボックス機器やSDN/NFV関連の職を務めている。

OcNOSとは — 通信網からAIデータセンターまで貫く1本のOS

ZebOSがOEM向けの「部品」だったのに対し、2015年4月24日に発表された「OcNOS(Open Network Operating System、オクノス)」は、完成品として通信事業者やデータセンター事業者に直接売るためのネットワークOSである。前提になっているのは「ホワイトボックス」という考え方だ。
従来のネットワーク機器は、シスコならシスコのハードウェアにシスコのソフトウェアが載った一体品として売られてきた。買った側はハードもソフトも保守も同じベンダーに縛られ、価格交渉力を持てない。これに対しホワイトボックスは、台湾のODMメーカーが作る汎用ハードウェアと、その上で動くOSを別々に調達する。ACCESSの決算説明資料はこの構図を「専用ハード+専用ソフト」対「汎用ハード+分離されたソフト」と整理しており、利用者側の訴求点をコスト低減と運用の自由度向上の二点に置いている。IP Infusion自身は、クローズドな垂直統合型製品に対してOcNOSを白箱ハードウェア上で使えば総保有コストを40〜60%削減できるとしている。
OcNOSの特徴は、用途ごとに製品を分けずに同じソフトウェア基盤で通信事業者網とデータセンターの両方をカバーする点にある。通信事業者向けの「OcNOS-SP」は、SR-MPLSやSRv6、Flex-Algoといったセグメントルーティング、50ミリ秒以下で迂回するTI-LFA高速リルート、MEF 3.0準拠のキャリアイーサネット、5G基地局の時刻同期に必要なIEEE 1588v2 PTPとSyncEを備える。データセンター向けの「OcNOS-DC」は、EVPN-VXLANによるリーフ・スパイン構成のオーバーレイに加え、GPUクラスタ向けにPFC、ECN、ETS、DCQCNを組み合わせたロスレスのRoCEv2転送に対応する。この二つに加え、OEM向けのバイナリ提供版「OcNOS Flex」とソースコード提供版「OcNOS CP」がある。
実際の使われ方は幅広い。携帯基地局のそばに置く小型のセルサイトルーター、インターネット相互接続点(IXP)のコアスイッチ、光ファイバー加入者を収容するブロードバンドアグリゲーション、そして近年急拡大しているデータセンター間接続(DCI)である。国内では2019年にさくらインターネットが自社データセンターのToRスイッチにEdgecore製ハードウェアとOcNOSの組み合わせを採用した。海外では世界最大級のIXPであるLondon Internet Exchangeの新ネットワーク、ルーマニアのDIGI Communications、インドネシアのLintasarta、オーストリアのeww ITandTELなどが導入している。2025年10月には米国の農村部を中心に事業展開するNextlink Internetが、11州のミドルマイル網とデータセンター基盤でOcNOSのSP版とDC版をEdgecoreハードウェア上で本番稼働させた。2026年2月にはフランス南部の地域通信事業者IzarLinkが、システムインテグレーターのPine Networksと組んでデータセンターのコア網を刷新している。IP Infusionは現在、60カ国超・600社超の事業者ネットワークで稼働していると説明している。
最新版の「OcNOS 7.0」は2026年2月25日に発表され、3月2日開幕のMWCバルセロナ2026に合わせて一般提供が始まった。80を超える新機能が追加されているが、力点は明確に四つある。第一に、400G/800GのZR/ZR+コヒーレント光を直接ルーターに挿してトランスポンダー装置を省く「IPoDWDM」の本格対応。第二に、BGPのRPKI検証によって経路リークや経路ハイジャックを弾くセキュリティ強化。第三に、DockerとKubernetesのコンテナをネットワーク機器上で動かせるクラウドネイティブ運用。第四に、100を超えるgNMIストリーミングテレメトリのセンサー追加と、状態変化時のみ送信する「on-change」方式への移行である。製品・マーケティング責任者のミゲル・アロンソ氏は、OcNOS 7.0が「サービスプロバイダーにとって戦略的な進化プラットフォームの選択肢になった」と述べている。


創業から現在まで — GNU Zebraから東証プライム子会社へ

同社の歩みは、大きく四つの局面に分けられる。
第一の局面は1996年から2005年、GNU ZebraからZebOSへの商用化期である。オープンソースの経路制御実装を、通信機器メーカーが自社製品に安心して組み込める品質まで引き上げ、ファウンドリーネットワークス、エリクソン、富士通、Acctonといった顧客を獲得した。この時期のIP Infusionは、あくまで裏方の部品供給業者だった。
第二の局面は2006年から2014年、ACCESS傘下入りである。2006年3月、携帯電話向けブラウザ「NetFront」で知られたACCESSが約5,000万ドル(当時のレートで約58億円)でIP Infusionを買収した。ガラケーの限られた資源の上でブラウザを動かし、端末メーカーごとの移植と保守を積み上げてきた組み込みソフトウェアの老舗が、通信機器の内側で動くソフトウェアの会社を手に入れた形である。ACCESSはPalmSource買収に続く事業領域拡大の一環と位置づけていた。創業者の石黒氏はIP InfusionのCTOを務めた。
第三の局面は2015年から2022年、OcNOSによる完成品ビジネスへの転換である。2015年のOcNOS発表を起点に、2018年にはTelecom Infra Project(TIP)のディスアグリゲーテッド・セルサイトゲートウェイ向けに検証を通過し、通信キャリアの基地局回線という本丸に食い込んだ。2022年時点で累計導入は500社を超え、その年の第3四半期までの売上は前年同期の2倍に達したと発表している。
第四の局面が2023年以降で、IOWNとAIデータセンターという二つの追い風と、会計不正という逆風が同時に吹いた時期である。2023年3月にNTTとの共同開発によるネットワークOS「Beluganos」の販売・サポートを開始し、同年12月にはNTTがACCESSに出資する資本業務提携が成立した。2024年9月にはNTT、NTT-AT、ACCESS、IP Infusion、Broadcom、Edgecore、UfiSpace、富士通オプティカルコンポーネンツ、NECの9社による「IOWNネットワークソリューション(400G)」の提供体制が整った。しかし同じ2024年10月から11月にかけて、IP Infusionの売掛金回収長期化を端緒に社内調査と特別調査委員会の設置に至り、2025年6月30日に公表された調査報告書が長期の会計不正を認定する。2025年12月にトム・サボイ氏がCEOに就任し、2026年2月にOcNOS 7.0、6月に総務省事業の受託と、事業面では前進が続いている。

業界の状況① 競合 — 巨人・オープンソース・VC出資スタートアップの三正面

OcNOSが戦っている相手は、性格の異なる三つの陣営に分かれる。
第一が既存の垂直統合ベンダーである。シスコのIOS XR、ジュニパー(2025年にHPEが買収完了)のJunos、ノキアのSR OS、アリスタのEOSがこれにあたる。IP Infusion自身は、Broadcom製マーチャントシリコンを載せたオープンハードウェア上で機能的に肩を並べつつ、設備投資額を大幅に下げられる点を訴求している。ただしこの陣営は、機能の網羅性、実績、サポート体制、そして何より調達部門にとっての「無難さ」という点で圧倒的に強い。
第二がオープンソースのSONiCである。マイクロソフトが公開したデータセンター向けNOSが源流で、Dell、アリスタ、シスコらが商用サポート版を提供している。IP Infusion自身の比較資料は、コミュニティ版SONiCについて「明確な製品ロードマップがなく、24時間365日の本番サポートもなく、Broadcomシリコン中心で、専任のNOSエンジニアリング組織を持つ事業者向け」と整理し、逆にOcNOSの位置づけを「通信事業者網とデータセンターの双方を一つの窓口でカバーする商用製品」としている。SONiCはデータセンターのリーフ・スパイン用途では強いが、MPLSやセグメントルーティング、IPoDWDM、PTPといった通信事業者要件の深さでは差がある、というのが同社の主張である。
第三が、ベンチャーキャピタルの資金を大量に集めた独立系スタートアップである。ここが現在もっとも激しい。イスラエルのDriveNetsは2026年6月に4億1,000万ドル(約640億円)を調達し、企業価値85億ドル(約1兆3,300億円)に達した。ベッセマー・ベンチャー・パートナーズとアトレイデス・マネジメントが主導し、AMDが戦略投資家として参加、累計調達額は約10億ドル(約1,560億円)に達する。同社は2025年時点でキャッシュフロー黒字、受注残とプロジェクトのバックログが10億ドルを超えると説明しており、2025年7月にはAT&Tが従業員や既存投資家から6億5,000万ドル(約1,020億円)分の株式を取得している。もう一社のArrcusは、2023年2月にサウジアラムコ系のProsperity7 Venturesが主導する5,000万ドル(約78億円)のシリーズDで評価額を倍増させ、累計調達額は約1億2,300万ドル(約190億円)となった。さらに2025年9月、富士通と同社子会社の1Finityが戦略提携を結び、富士通がArrcusに約6,700万ドル(約105億円)を出資している。SONiC商用化を狙うAviz Networksも2024年に1,700万ドル(約27億円)のシリーズAをクアルコム・ベンチャーズやCelesticaらから調達した。
ここで注目すべきねじれがある。富士通はArrcusに出資し、1Finityを通じて日本市場を軸にArrcus製品を展開する立場にありながら、2026年2月のMWCではその1Finityブースで富士通1FINITY光プラットフォームとOcNOSを統合したIPoDWDMソリューションを展示している。IP Infusionと富士通ネットワークコミュニケーションズの間には2022年6月締結、2027年6月15日まで(以降1年ごと自動更新)のリセラー契約も存在する。日本の大手電機メーカーが、競合するNOSベンダー二社と同時に手を組んでいるのが現在の業界構図である。
さらに大きな地殻変動が、AIデータセンター側で起きている。IDCの2026年6月17日公表データによれば、2026年第1四半期のイーサネットスイッチ市場全体は154億ドル(約2兆4,100億円)と前年同期比39.8%増、うちデータセンター向けは100億ドル(約1兆5,700億円)と61.0%増だった。この局面でNVIDIAが同分野で初めて首位に立ち、売上21億ドル(約3,290億円)、シェア21.5%、前年同期比193%増を記録している。IDCのブランドン・バトラー氏は、Spectrum-Xがシェアを伸ばしたのは「単体のスイッチングアーキテクチャとしてではなく、AIファクトリー向けに最適化されたGPUとネットワークの緊密な統合パッケージとして販売されているから」だと指摘する。つまりAIデータセンター領域では、ソフトとハードを分離するディスアグリゲーションとは正反対の、再垂直統合の力学が働いている。



業界の状況② サプライチェーン — Broadcomと台湾ODM、そして日本の光部品

OcNOSのビジネスは、それ単体では成立しない。ソフトウェアが動く土台となるハードウェアのサプライチェーンに、構造的に依存している。
土台の最下層にあるのがスイッチング半導体である。IP Infusionが対応する40機種超のオープンハードウェアは、そのほとんどがBroadcom製のマーチャントシリコンを搭載する。用途別に見ると、小型のセルサイトルーターにはQUX、通信事業者向け集約装置にはQumranやQMX、深いバッファを持つコア/エッジルーターにはJericho系、AIファブリックのスパインには最新のTomahawk 5が使われる。2026年2月時点でOcNOS 7.0が想定する主要プラットフォームは、Tomahawk 5搭載で800G OSFPを64ポート備えるUfiSpace S9321-64EO、Edgecore AS5916-54XL、UfiSpace S9502-12SMなどである。Broadcomは2025年8月5日、100万を超えるXPUを複数のデータセンターにまたがって接続することを狙ったJericho4の出荷開始を発表した。1システムあたり3.2Tbpsのハイパーポートを36,000本まで拡張でき、100キロメートルを超える長距離接続に対応する。オムディアのリアン・ジエ・スー氏は、Jericho3が同一データセンター内の接続に焦点を当てていたのに対しJericho4は長距離接続向けに設計されていると指摘する。裏を返せば、この階層はBroadcom一社への依存が極めて強い。
中間層が台湾のODMメーカーである。UfiSpaceとEdgecore Networks(Acctonグループ)がOcNOSの二大ハードウェアパートナーで、UfiSpaceのS9500-30XSはグローバルなTier1通信事業者が採用した業界初のホワイトボックス型セルサイトゲートウェイルーターとされる。DeltaやEPS Globalも同じ生態系に属する。この層は同時にDriveNetsのハードウェアパートナーでもあり、NOSベンダー各社が同一のODM供給網を共有している。ODM側から見れば、どのNOSが勝っても箱は売れる構造になっている。
最上層が光トランシーバーである。IPoDWDMの本質は、これまで別筐体のトランスポンダーが担っていた長距離光伝送の機能を、400G/800GのZR/ZR+モジュールとしてルーターのポートに直接挿し込むことにある。IOWNネットワークソリューション(400G)では、富士通オプティカルコンポーネンツのFIM38900/FIM38950とNECのOD-QD337SCLS00Nが400G ZR/ZR+光トランシーバーとして採用されており、日本企業が中核部品を供給している点は経済安全保障の観点からも意味を持つ。市場規模としては、Dell'Oro Groupが2025年12月16日に、IPoDWDMシステム市場が2030年に44億ドル(約6,900億円)へ達し、年平均16%で成長すると予測している。同社のジミー・ユー氏は「ZR+光への関心は1年前と比べて10倍に高まった」と述べ、2026年にはIPoDWDMのZR/ZR+売上の3分の1超が800G品になると見ている。OcNOS 7.0がIPoDWDMを最重要機能に据えたのは、この予測と正確に整合している。


IOWN構想との関係 — NTTとの資本業務提携から筆頭株主へ

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが提唱する次世代の通信・情報処理基盤構想である。その中核をなすオールフォトニクス・ネットワーク(APN)は、端から端まで光のまま信号を運び、電気変換に伴う消費電力と遅延を極小化する。IOWN Global Forumは2020年1月に設立され、2026年2月時点で180を超える組織が参加する。同フォーラムのカツヒコ・カワゾエ会長は2026年3月のMWC26で「AIが世界のインフラ要件を作り替えるなか、次世代ネットワーク技術が実用的な価値をもたらせることを示している」と述べ、APNが実証段階から商用展開へ移りつつあると位置づけた。
IP Infusionとこの構想の接点は深く、かつ古い。同社は2021年1月からIOWN Global Forumのジェネラルメンバーであり、2022年2月にはNTTがAPN上で非圧縮8K120p映像を伝送する技術の開発にOcNOSを提供して貢献している。2023年3月には、NTTの技術とIP Infusionのネットワークソフトウェア技術を組み合わせたホワイトボックス対応ネットワークOS「Beluganos」の販売・サポートがNTT-AT経由で始まった。
決定的だったのが2024年9月4日の「IOWNネットワークソリューション(400G)」である。NTT、NTT-AT、ACCESS、IP Infusion、Broadcom、Edgecore、UfiSpace、富士通オプティカルコンポーネンツ、NECの9社が組み、ネットワークOSとホワイトボックス装置と400G ZR/ZR+光トランシーバーを一体のシステムとして提供する体制を整えた。従来の一体型ネットワーク構成と比較して、構築・運用コストを50%、消費電力を40%削減できるとされる(いずれも各社想定環境での値)。ホワイトボックス側にはBroadcom Qumran2a搭載のEdgecore CSR440-AS7535-28XBと、Jericho2c+搭載のUfiSpace S9610-36D/S9510-28DCが使われる。2025年6月3日には、SKテレコムがIP InfusionとEdgecoreと組み、IOWN APNを活用したIPoDWDMのライブPoCを完了させた。SDNオーケストレーターから光モジュールの送信出力、レートレート、波長を制御し、テレメトリで状態を監視するところまで検証している。複数ベンダーの400G OpenZR+光を混在させた高速・長距離伝送が成立した点が、マルチベンダー前提のIOWNにとって重要な成果だった。
そして2026年6月24日、ACCESSとIP Infusionは総務省の「海外AIデータセンターにおけるオールフォトニクス・ネットワーク技術の展開に関する調査研究」を受託した。検証対象は、AIデータセンターの外部接続、AIデータセンター内部の接続、分散型AIデータセンターソリューションの三つのユースケースである。背景には、総務省が2025年6月11日に公表した「デジタル海外展開総合戦略2030」がある。同戦略は8つの重点分野を定め、APNを「我が国企業が強みを有し、グローバルな展開を通じて不可欠性の獲得に資する分野」に位置づけたうえで、国内展開と並行してハイパースケーラー等へグローバル展開し、2030年頃にハイエンド光伝送装置で日本企業のシェアトップ3入りを目指すという明確な数値目標を掲げている。IP Infusionのリリースは、AIデータセンター向け通信機器市場が事実上の寡占状態にあり、特定GPUベンダーの独自ソリューションへの依存が強まっている、という問題意識を明記している。
資本関係も、この構想と直結している。NTTとACCESSは2021年7月27日に業務提携を結び、2023年12月12日にIOWNの発展を目的とした資本業務提携で合意した。NTTはACCESS普通株式5,134,600株、発行済株式総数の12.9%を取得している。ここで見落とされがちなのが、有価証券報告書に記載された提携契約の中身である。NTTグループの持株比率が10%超である間、NTTはACCESSの取締役候補者1名を指名する権利を持ち、さらにACCESSがIP Infusionの株式や事業の全部または一部をNTTグループ以外の第三者へ譲渡しようとする場合、NTTが優先提案権を有する。加えて、ACCESSがIP Infusionを国内外の金融商品取引所に上場申請すると決定した場合、NTTは代替提案を行うことができ、ACCESSが原案のほうが企業価値向上に資すると合理的に判断できない限り、その代替提案を採用しなければならない。IP Infusionの将来的な売却やIPOが契約文言のレベルで想定され、そこにNTTが先取り権を確保しているという事実は、この提携の性格を端的に示している。
その延長線上で、2026年7月22日に象徴的な出来事が起きた。ACCESSが7月31日に開示したところによれば、同日提出された大量保有報告書の変更報告書により、NTT株式会社が主要株主である筆頭株主となったことが確認された。NTTの議決権比率は異動の前後とも13.6%で変わっていない。首位に立ったのは、それまで筆頭株主だった個人投資家・清原達郎氏が保有を減らしたためである。清原氏の議決権比率は7月16日時点の14.1%から7月22日に13.4%へ低下し、7月31日付の変更報告書に記載された直近の保有株式数は4,875,000株まで減っている。IOWNのために出資したパートナーが、市場での売却の結果として筆頭株主の座に就いたことになる。


会計不正と特別注意銘柄 — OcNOSへの期待が生んだ歪み

ここまでの技術的・戦略的な蓄積と、まったく別の次元で進行していたのが会計不正である。
発端は2024年10月からの社内調査だった。ネットワーク事業で新興顧客を中心に売掛金の回収期間が長期化しており、その原因を調べる過程で、米国子会社における一部取引に不適切な売上計上の疑義が生じた。2024年11月29日に外部専門家中心の特別調査委員会が設置され、調査は当初の疑義に類似する事案とソフトウェア資産の会計処理にまで拡大した。2025年6月30日に公表された調査報告書は、IP Infusionにおいて三種類の不正を認定している。第一に、ソフトウェアライセンスの販売契約と同時期に、顧客をリスクフリーにするサイドレターを別途締結しながら、本体契約のみに基づいて売上を計上していたこと。第二に、収益認識の条件が満たされていないにもかかわらず、虚偽の取引証憑や資料を作成して売上を計上していたこと。第三に、ソフトウェア資産計上額の算定根拠となる集計データの内容区分を不適切に操作し、計上タイミングの根拠となる証憑を改変することで、資産計上額を過大に、研究開発費等を過少に表示していたことである。報告書の目次は、返金条件付取引、バーター取引、buy-out取引、pre-buy取引、ライセンス取引、ソフトウェア資産化という6類型に章立てされている。
訂正の規模は大きい。2024年1月期では売上高が14億55百万円、営業利益が18億72百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が19億51百万円それぞれ過大だった。2025年1月期中間期末時点で、総資産は72億86百万円、純資産は82億24百万円の下方修正となった。東京証券取引所は、この不正が2018年1月期から行われていたこと、2019年1月期と2020年1月期の各段階損益の赤字を黒字と表示していたこと、そして2020年2月のマザーズから市場第一部への市場変更申請にあたって提出した宣誓書に反する不実記載があったことを認定し、2025年8月27日付でACCESS株式を特別注意銘柄に指定するとともに、上場契約違約金4,800万円の支払いを求めた。
原因分析として、ACCESSが2026年1月30日に東証へ提出した改善計画・状況報告書は、事業環境と株主構成の両面を挙げている。2017年1月期以降、社内外からネットワーク事業とIP Infusion、そしてOcNOSへの期待が高まり、経営陣は自ら高い予算目標を掲げ、市場第一部への市場変更に向けてIP Infusionの予算達成が重要課題と認識されていた、という記述である。あわせて「特殊な株主構成」の項では、2012年頃から匿名の株主が株式取得を進め、2019年6月に44.13%、2021年4月に45.04%を保有し、特に2023年頃まで同社とのエンゲージメントを通じて継続的に株価向上と成長戦略の策定・実現の要請を受けていたとする。公表されている大量保有報告書上、タワー投資顧問がACCESS株の保有比率を44.13%から45.04%へ引き上げたのは2021年4月であり、同社の保有比率は2023年11月に44.68%から12.90%へ、同年12月には0.00%へ低下している。
処分と体制刷新も進んだ。不正を主導したとされるIP Infusionの元Chairman・Director(ACCESS取締役兼務)、元CEO、元CFOの3名は2025年6月30日付で取締役を辞任した。元CFOは実務引継ぎのうえ2025年10月1日に退職し、残る2名は決裁権限を持たない従業員として業務を引き継いだうえで2026年7月までに退職する予定とされている。IP Infusionの立て直しのため、2025年7月1日付でACCESS社長の大石清恭氏が同社CEOに就任し、11月20日付でChief Sales Officerだったトム・サボイ氏をCEOに登用、大石氏は取締役として残留した。IP Infusionが対外的にサボイ氏のCEO就任を発表したのは12月15日である。一方、ACCESSの取締役会は、本件に関与した取締役やグループ役職員について「6月30日の自主的な対応をもって十分な処分」とし、責任の所在を明確にするための追加処分は不要と結論している。


数字で見る現在地 — 売上84億円に対し研究開発費37億円

2026年1月期の連結売上高は192億15百万円で前期比20.6%増、営業損失は26億88百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は33億98百万円だった。セグメント別では、ネットワーク事業の外部顧客売上高が84億88百万円(前期比5.3%増)、セグメント損益は31億49百万円の損失である。このうちIP Infusion単体の売上高は82億88百万円で、前期の78億63百万円から微増にとどまった。
損失の主因は先行投資である。2026年1月期の連結研究開発費は38億08百万円で、そのうち37億38百万円がネットワーク事業に投じられている。売上84億88百万円に対して研究開発費37億38百万円、比率にして44%という水準は、上場企業の一事業としては異例に高い。ホワイトボックス向けNOSという領域が、大手ベンダーと同等の機能網羅性を維持するために継続的な巨額投資を要求する装置産業に近い性格を持つことを、この数字は示している。
先行きの手がかりは受注データにある。2026年1月期のネットワーク事業の受注高は69億89百万円(前期比191.1%増)、受注残高は57億44百万円(同504.4%増)に膨らんだ。ACCESSの決算説明資料によれば、1年以内の受注を見込む引き合いの合計である案件パイプラインは2025年12月時点で3億2,000万ドル(約500億円)と、前年同時期比で約20%増加している。
この急増をもたらしたのが、UAE・ドバイのEvollabs Tech FZ-LLCとの契約である。2025年12月23日、IP Infusionは契約期間3年、総額7,000万ドル(約110億円)のライセンス契約およびサービス契約を締結したと開示した。ライセンス、保守・サポートに加え、ロードマップに基づく追加機能開発を含む包括契約で、Evollabs側はネットワークOSとハードウェアを組み合わせて中東地域を中心に販売する計画とされる。ところが入金が遅れた。2025年中に支払いを求める3,000万ドル(約47億円)のうち、2025年12月23日時点で入金が確認できたのは1,000万ドルにとどまり、2026年1月5日時点でも2,000万ドル(約31億円)が未入金だった。ACCESSは2026年1月30日、取引内容が複雑かつ大規模であることを踏まえて会計処理を慎重に検討しているが、当期の収益認識額が従前の想定より減少し翌期以降が増加する可能性が高まったとして、2026年1月期の通期業績予想(売上高205億円、営業損失7億円)を取り下げ、「未定」とした。決算説明資料は、この7,000万ドルが主として2027年1月期と2028年1月期に収益認識される予定であると示している。
2027年1月期の会社計画は、連結売上高230億円、営業利益8億円、当期純利益6億10百万円で、営業損益の黒字転換を見込む。セグメント別ではネットワーク事業が売上高130億円(前期比53.1%増)、セグメント利益4億円と、赤字から一気に黒字化する前提である。実際、2026年6月12日発表の第1四半期(2026年2月〜4月)では、ネットワーク事業の外部顧客売上高が33億59百万円と前年同四半期比147.0%増、セグメント損益は前年同四半期の12億54百万円の損失から1億36百万円の利益へ転じた。連結でも売上高61億57百万円(同18.0%増)、営業損失は9百万円まで縮小し、四半期純利益88百万円を計上している。
財務基盤は依然として薄い。2026年1月期末の現金及び現金同等物は51億71百万円で、前期末から53億88百万円減少した。営業キャッシュフローは39億35百万円のマイナスである。ACCESSは決算短信と四半期決算短信の双方で、継続企業の前提に関する重要事象等が存在すると認識していることを明記したうえで、コストコントロールが可能であることを理由に「重要な不確実性は認められない」と判断している。2027年1月期の製品開発投資計画は17億40百万円で、手元資金と営業キャッシュフローで賄う想定だが、資本市場での資金調達や銀行借入も継続的に検討するとしている。配当は2026年1月期に続き2027年1月期も無配の予定である。


VC・投資家の視点 — 「1兆3,300億円のDriveNets」と「時価総額137億円のACCESS」

投資家の目線でこの会社を見ると、極端な非対称性が浮かび上がる。
まず、IP InfusionはVCのレーダーに載らない。フォーブスが2026年3月10日に公開した「AIブームを捉える有力非公開インフラ企業」の一覧には、Arrcus、Aviz Networks、DriveNets、Netris、Nileといったネットワーキング企業が並ぶが、IP Infusionの名前はない。600社超の顧客と27年の実績を持ちながら不在なのは、同社が単独で資金調達をしないコーポレート子会社だからである。VCが評価するのは独立企業の成長曲線であり、親会社の連結セグメントとして開示される事業は追跡対象から外れる。
この構造の帰結は、資本の量と時間軸の差として現れる。DriveNetsは2026年6月時点で企業価値85億ドル(約1兆3,300億円)、累計調達額約10億ドル(約1,560億円)。対するACCESSは、グループ全体でIoT事業とWebプラットフォーム事業を含めても、2026年7月31日時点の時価総額が約137億円である。IP Infusion単体の売上82億88百万円は、DriveNetsの受注残・バックログ10億ドル超という説明と比べれば桁が違う。しかし裏を返せば、DriveNetsは10億ドルの外部資本を燃やして今の位置に到達したのに対し、IP Infusionは親会社の連結損益に年30億円規模の赤字を計上しながら同じ市場で戦ってきた。VCマネーの供給が止まればスタートアップは即座に縮小を迫られるが、コーポレート子会社は親会社が耐える限り走り続けられる。ACCESSが継続企業の前提に言及しつつも研究開発費を積み増しているのは、まさにこの選択の結果である。
問題は、その親会社の耐久力が試されていることだ。ACCESSは2026年1月31日時点でプライム市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額が98.0億円と、基準の100億円をわずかに下回った。2027年1月31日までの改善期間内に適合が確認できなければ監理銘柄(確認中)に指定され、さらに適合が確認されなければ整理銘柄を経て2027年8月1日に上場廃止となる可能性がある。会社はプライム市場での上場維持を重要な経営課題としつつ、適合が困難となる可能性が高まった場合にはスタンダード市場への区分変更も選択肢の一つとして検討するとしている。参考として同社は、2026年1月末時点でスタンダード市場の基準はすべて充足していると試算している。特別注意銘柄の指定も並行して継続中で、指定期間は原則1年、1年後に内部管理体制確認書を提出して東証の審査を受け、問題が認められれば原則として上場廃止となる。
株主構成の変化も、この文脈で読む必要がある。清原達郎氏は2026年7月に入って断続的に売却を進め、7月6日時点の24.19%から7月31日時点で9.78%まで保有比率を落とした。改善計画書が「特殊な株主構成」として問題視した、突出した比率を持つ株主から成長圧力を受ける構図は、これで実質的に解消に向かう。代わって筆頭株主となったNTTは、13.6%を保有し、取締役候補者1名の指名権とIP Infusion譲渡時の優先提案権を握る。株主構成の性格が、株価上昇を求める国内個人投資家から、IOWNという技術構想を共有する事業会社へと入れ替わったことになる。
顧客集中も投資判断上の論点である。有価証券報告書によれば、ドイツのUniLab Solutions GmbHへの販売が2025年1月期に33億15百万円で総販売実績の20.8%、2026年1月期に20億34百万円で10.6%を占めた。IP Infusionは同社と2024年3月5日付で「OcNOSのソースコード提供等に係る合意」の覚書を締結している。さらに注目すべきは、UniLabとの覚書および富士通ネットワークコミュニケーションズとのリセラー契約の双方において、第三者からIP Infusionの全株式または全資産の取得に関する提案がなされた場合、相手方が入札に参加でき、潜在的な株式取得者と同等の条件で株式取得に参加できる旨が合意されている点だ。NTTの優先提案権と合わせると、IP Infusionの支配権が動く局面では、NTT、富士通、UniLabの三者が同時に権利を主張しうる構造になっている。この会社の「出口」は、すでに複数の当事者によって前もって囲い込まれている。


強みと課題、そして今後の焦点

強みは三つに整理できる。第一に、GNU Zebraから27年にわたって積み上げた経路制御スタックの成熟度である。300社超の機器メーカーがOEM採用してきたコードベースは一朝一夕には再現できず、コミュニティ版SONiCが埋めきれていない通信事業者向け機能——MPLS、セグメントルーティング、Flex-Algo、IPoDWDM、PTP/SyncE——の深さが競争優位の実体になっている。加えて親会社のACCESS自身が、ガラケー向けブラウザで多数の端末メーカーに個別移植と長期保守を提供してきた組み込みソフトウェアの実績を持ち、他社ハードウェアに載るソフトを売るという商売の作法をグループとして三十年近く続けてきた。第二に、通信事業者網とデータセンターを同一のソフトウェア基盤で貫く設計思想である。AIデータセンターの需要がデータセンター内部からDCI、さらに「スケール・アクロス」へと外側に広がるほど、両方の要件を一本でカバーできる価値は増す。第三に、NTTと総務省という後ろ盾である。IOWNネットワークソリューションの構成員であり、日本政府が2030年に光伝送装置で世界シェアトップ3を狙う戦略の実証を担う立場は、単なる一ベンダーとは異なる位置づけを与える。
課題も同じく三つある。第一に、資本と規模の劣位である。年37億円の研究開発投資は、シスコやノキアはもちろん、10億ドルを調達したDriveNetsと比べても限られる。AIファブリックの機能競争が800G世代、Jericho4世代へ進むなかで、投資余力の差は機能実装の速度差に直結する。第二に、収益の質である。総額7,000万ドルの単一大型案件が業績計画の要になっている状態は、入金遅延と収益認識の期ずれが実際に通期予想の取り下げを招いた事実が示すとおり、脆い。会社自身が「Tier1オペレーター獲得に向けての取り組み」を継続課題に挙げているのは、この集中リスクを幅広い顧客基盤で置き換える必要があるからだ。第三に、ガバナンスの信認回復である。不正の舞台がまさにIP Infusionであり、動機が「OcNOSへの期待に応えなければならない」という圧力だったという認定は、この事業の成長ストーリーそのものに疑いの影を落とした。
今後の焦点は、2026年後半から2027年前半に集中する。直近では、特別注意銘柄の指定から1年となる2026年8月27日前後に、ACCESSが内部管理体制確認書を東証へ提出し、審査が始まる。ここで内部管理体制に問題があると認められれば原則として上場廃止、適切に整備されているが運用が確認できない場合は指定継続となる。9月ごろに公表される2027年1月期第2四半期決算では、上期計画(売上高108億円、営業損失3億円)に対する進捗と、Evollabs案件の収益認識がどのペースで進んでいるかが焦点になる。2026年度中には総務省の海外AIデータセンター向けAPN実証が動き、外部接続・内部接続・分散型AIデータセンターの三ユースケースで具体的な検証結果が出る見込みだ。そして2027年1月31日が流通株式時価総額の改善期間の期限であり、通期でネットワーク事業130億円・セグメント利益4億円という計画の達成可否と株価が、プライム残留かスタンダード移行かを分ける。
技術面では、Broadcom Jericho4搭載機の本格立ち上がり、800G ZR+の量産、IOWN 2.0で計画されるDCI-2の商用化が2026年から2027年にかけて重なる。IP Infusionにとっては、IPoDWDMとAIファブリックという二つの新領域で、Tier1級の商用案件を獲得できるかどうかが問われる局面になる。そして株式の側では、NTTが筆頭株主として、IP Infusionの譲渡やIPOに対する優先提案権をいつ、どのような形で行使するのか——あるいは行使しないのか——が、この会社の最終的な帰趨を決める最大の変数として残っている。
